パーパスの策定、まず何からはじめるべきか?
1. パーパス設定の前にやっておくべき大切な第一歩
最近、パーパスに取り組む会社が増えてきたように思います。
経営メンバーからの「わが社もパーパスを設定したいので、準備しておくように」などのオーダーをきっかけに、まさに今から取り組みを始めようとされている会社も多いのではないでしょうか。
「パーパスを、経営メンバーに考えて決めてもらおうか?」
「いやいや、現場の声は大切だから、経営と社員との対話会を開催しようか?社員にアンケートしてみるか?」
「その前に、お客様の声を集めてみる?他社の事例を調査してみる?」
会社のパーパスですから、経営陣の想いがこもった言葉であることは大切ですし、社員の想いともつながっている必要があると思います。当然、外部の声や情報収集も大切ですよね。
ただ、取り組みを成功させるためには、このような具体的な打ち手や進め方を考える前に、やっておくべき大切な第一歩があります。
実際、規模・業種を問わず数多くの会社のパーパス策定を支援してきた私の経験上、取り組みの成否の8割は、この第一歩を正しく踏みだしかどうかによるといっても過言ではないです。
本格的な取り組みが始まる前に、その成否が決まってしまうとしたら、その一歩は非常に大切ですよね。
2. パーパス策定、最初の一歩とはなにか?
すこし禅問答の様になってしまいますが、それは、「パーパスのパーパスを話し合うこと」です。
具体的には、「なぜ、パーパスをやるのか?なんのためにやるのか?」ということをしっかりと確認することです。
たとえ、経営者や偉い上司からのオーダーであったとしても、そこが理解できるまでしっかりと確認すること。もし経営者ご自身が取り組まれようとされているのであれば、「俺はなんのためにパーパスをやりたいのか?」をしっかりと考え会社の仲間とも話し合うことをお勧めしたいと思います。
パーパスが大切だという一般論は世の中にあふれていますが、そんな一般論やきれいごとではなく、「パーパスを定めることは、わが社にとって、自分自身にとっていったいどういう意味があるのか?それはなぜか?」そこを深く考えておくこと。言葉として共有しておくこと。それがパーパスに取り組む第一歩になります。
パーパスへのイメージがもう少し具体的にあるのであれば、さらに、「いつまでにどうなっていたいか?(ゴール設定)」も明確にしておくことも大切でしょう。
このような話は、部外者が聞くと当たり前のように聞こえるかもしれませんが、この当たり前が組織の中にいる当事者同士ではなかなか難しいのです。
以前ある会社(大手製薬メーカーのグループ会社)の相談にのったときです。
担当者から「会社が本気でパーパスにむけて取り組んでいくことになった。社員のエンゲージメント向上や長期的な視点で成長を目指せる会社にしたい。パーパスを作るプロセスを支援してほしい。」という熱いお話をいただきました。
そのお話をお伺いした後、経営者にも改めて、パーパスに取り組む目的やゴールイメージをインタビューをさせていただいたのですが、その時の答えは
「目的・ゴール?本社が新しくパーパスを掲げたから、グループ会社版に置き換えた言葉をただ作ってほしいだけだよ。」というものでした。
今でも半分冗談なのか?と思っていますし、私の聞き方にも問題があったのかもしれませんが、担当者もびっくりするくらい、目的やゴールイメージにギャップがあった事例です。
もちろん、このようなケースは珍しいとしても、特に経営から現場に降りてきたオーダーに対して、現場から経営メンバーに「なぜやりたいか?どこまでやりたいか?」そういうイメージを詳細に確認するのは難しいことが多いように思います。
「〇〇常務、△△専務は、きっと、こうだと思われている。あの言い方だと、こういうことを想定されている・・」
そんな慮りや忖度の結果、相当な手戻りが発生しているケースも多いのではないでしょうか。
(これ、日本の企業の生産性を下げる、組織面からみた最大の課題だと思います。)
パーパスに限らず目的を確認しながら仕事を進めていくことは重要なことですが、少なくとも、パーパス(存在意義、意味や目的)を大切にする会社を目指そうとする取り組みなわけですから、パーパスに取り組むパーパス「なんのためにやるのか?」を、具体的にイメージが共有できるまで、しっかりと確認されることをお勧めしたいと思います。
可能であれば、実際オーダーを受けて取り組む人が、その目的やゴール設定に共感が持てるまで話し合えると、さらに心のこもったいい取り組みになるのではないでしょうか。
3. パーパス策定、目的やゴールが決まったその後は?
そうやって、目的やゴール設定が決まったら、それを実現するための、具体的な手段の検討に入ると思いますが、目的やゴール「なぜやりたいか、どこまでやりたいか?」が具体的イメージで共有できていれば、検討の質もぐっとかわりますよね。
なんとなくではなく、具体的な目的とゴールを実現するためには、何をしないといけないか?そのためには、どのくらいのリソースが必要なのか?現実問題、どのくらいのリスクが発生するのか?などのリアリティのある議論が可能となるからです。
パーパスを本気でやろうとすれば、事業投資の経営判断や日々のマネジメントも変えていかないといけません。
事業構造やリソース配分などを変えるリスクをどう見て、どこまで踏み込むか?
必要なリソースやリスクが具体的に見えて、さすがにそこまでやるのは難しい・・となっても、この段階で明確にできれば、そもそものゴール設定を変更することは可能です。(いったん、組織が動き始めてしまうと、後から間違いを認めることや軌道修正することは、相当難易度があがるので、この段階でしっかりと議論することが重要になります。)
目的やゴールの議論がしっかりできていると、パーパス取り組みの成功確率を高めることにつながるのです。
パーパスへの取り組み、まず何から始めるか?
槐より始めよ。
パーパスを始める、第一歩は、パーパスのパーパス(①なぜやるのか?②なんのためにやるのか?③ゴールは?)を具体的に話し合いしっかりと共有すること。
具体的な検討や行動に移る前に、それが大切だと思います。
MVVやパーパスの策定に課題がある、策定しても機能しないと感じている経営者・担当者の方に。
パーパスの設定と組織の自律的なドリブンまで、その「設計から実践」までをサポートする「パーパスドリブン コンサルティング」
DAIALECは社員が会社や仕事に意味や価値を感じられるパーパスを社員と一緒に作り、具体的な実践までをご支援します。
DAIALECのパーパス実践ネットワーク
DAIALECは、組織開発のノウハウや多様な専門家のネットワークでパーパスドリブンを実現します。
組織風土コンサルティングのスコラ・コンサルトの元代表取締役が立ち上げたDAIALEC。
組織開発のコンサルティングをはじめ、各種経営者のコーチ、対話・ファシリテーターなどの豊富な経験・ナレッジを持っています。
また、大手広告会社との提携し、パーパスドリブンに必要となるクリエイティブ制作や社内外の広報についてもワンストップで対応。
その他にもシステム、人事制度、マーケティング、それに伴うPJマネジメントを得意とするコンサルタントをネットワークしています。